近年、日本で起きたさまざまな事象を見わたすと、なかには驚くべきことが存在する。そして「こんなことでよいのか?」あるいは、「なぜ、このような事象が事前に想定・予想できかなかったのか」と考えてしまう。
とりわけ、最近、発生した列車内での放火・火災事件は、その最たるものだろう。
この事件、犯行の事件性ばかりが言及されているが、問題の本質はそうではあるまい。
所定の停車位置でなければ、出入のための扉を開けさせないという、がく然とする、驚くべき規則、そして、想定外の事件が眼前で現実に勃発しているにもかからわず、ただ右往左往するだけの関係当事者たち ー これらは、今もって釈明すらされていないし、関係する責任者への処遇の話も聞かない。この恐怖で身も凍るような事件が、あたかも日常の何でもない、ちょっとしたことかのように語られるのが、まことに奇怪千万である。
火災が発生しているのに、現場にいる人々を、あろうことか、閉じ込めていたのである。
現実に起きた事件よりもっと大規模な火災、あるいは爆発などの、事故・テロがあった場合、いったいどうする想定なのだろう。この程度の被害で済んだのは、奇跡に近い。
今回の現場の責任者らは、これらの事態に対し、その当時、何らの状況・事情に対応した臨機応変の措置などを行っていない。おそらく、そのような想定での教育・訓練をまったく行っていないのであろう。重大な死傷事故にならなかったのは、たんなる偶然にすぎない。
そしてさらに、これを指摘し、糾弾し、警鐘を乱打する識者・専門家もいなければ、釈明・説明する現場担当者もいないばかりでなく、事後であっても対策を考えようとする当事者・識者/技術者・評論家などからの言説・意見などもない。
そのあまりのお粗末さに、唖然とし、身の毛がよだつ思いがするのは何も筆者だけではあるまい。
今回の事件はまことに衝撃的であった。だが、それ以上に、事後においての当事者・関係者・識者の対応は、最低、最悪と言えよう。
さて、この事件、どこかで類似した事件が.... と考えてみると、あの「サリン事件」である。あの事件に匹敵するであろう。
さらに、この「発想できなかった事例」を、思いつくままいくつか挙げてみる。
原発と津波
水没した新幹線
予想・予定することができなかった、いわゆる「想定外」だと言いたいのでだろうが、事故対応としては、最低の結末であり、重大な死傷者がでなかったのは、奇跡に近い。要するに、平和ボケである。