今も残る第二次大戦の負の遺産
国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島、樺太の南半分および、その周辺の小島は、日本固有の領土であったし、現在でもそれに何らの変更はない。太平洋戦争で日本が連合国に降伏後、占領期間を経て「サンフランシスコ条約」において領土を回復したにもかかわらず、これらの諸島は、かつてはソビエト連邦、現在はロシア共和国に不法に占拠されたままである。
沖縄は、同様に大戦末期に激戦のすえ占領されたが、その後、米国との粘り強い交渉を経て、返還された。
さまざまな経緯については緒論あろうが、北方領土は、実態においてロシアが不法に占拠したままで何らの変化がない。
この、ロシアの、領土に対するあくなき野心・要求は、いわゆる「ロシア」が隣接するあらゆる諸国に対して歴史的、伝統的に行ってきた方式であり、今回のロシア西方 ― ウクライナなど ― に対しても、変化がない。変化があるとすれば、より過激に、より直接的に領土に対する野心をあらわにしたことであろう。
われわれ日本としては、 これらの災厄をこうむった国々に対しては、距離的な問題が要因となって、ほとんど何らの援助や応援すらさしのべる方策がない。政府、民間とも、残念ながら腰が重い。
そこで、現在、ユーラシア大陸の西方でプーチン政権により行われているこのありうべからざる暴挙を阻止する、ほとんど唯一の方策として、今こそ、国後島、択捉島などの北方領土の回復を実行すべきだと提言したいのである。
背後を衝く(つく)、これをやるのである。強調しておきたいのは、これは、不法行為的なことではなく、現時点においてロシアが不法に占拠していることが、問題なのである。
ロシアに対し、現時点において考えうる、最大の牽制となるであろう。
今、ロシアはウクライナなどの問題で翻弄されている。ウクライナを支援するためにも、今こそ、ほとんど、唯一の好機である。
今回のウクライナ侵攻であきらかになった事項として、ロシアとは、どのような理由であれ、少しでも油断すれば、周辺諸国に対し、機会を見過ごすことなく領土を狙うというということである。日本が、日本本来の領土回復について断念することがないことを、これを機会に披瀝するのは、語のまったき意味における恒久平和の確立に資することは疑う余地がない。